介護福祉士 平成25年度(第26回)試験問題

認知症の理解

認知症の理解

問題77 リアリティ・オリエンテーション(reality orientation)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.現実の感覚や認識を確認して、見当職に働きかける療法である。
2.認知症(dementia)の人に特化したコミュニケーションの方法である。
3.思い出を語り合うグループワークである。
4.主体的な生活を獲得するための作業療法である。
5.動物を介在させる療法である。

答え:正解 1
1.○ リアリティ・オリエンテーションとは、見当識障害者を持った認知症の患者を対象としたケアです。これは、現実の何気ない情報を提供して、これを何度も繰り返すことで現実認識を深めることを目的とした療法です。
2.× リアリティ・オリエンテーションは、認知症の人に特化したコミュニケーション方法ではありません。
3.× リアリティ・オリエンテーションは、思い出を語り合うグループワークではありません。
4.× リアリティ・オリエンテーションは、作業療法ではありません。
5.× これは動物療法であり、リアリティ・オリエンテーションではありません。

 

 

問題78 せん妄(delirium)の危険因子として、正しいものを1つ選びなさい。

1.睡眠過多
2.ビタミンC欠乏
3.多血症(polycythemia)
4.高熱
5.喫煙

答え:正解 4
1、2,3、5 × せん妄は急性の脳機能障害で、高齢者にはしばしばみられます。
器質性脳疾患、身体疾患、薬物などが原因となります。せん妄発症の危険因
子には直接因子として脳血管障害、脳腫瘍、脳外傷、脳、髄膜炎、糖尿病、
腎疾患、肝疾患、甲状腺疾患、副腎疾患などがあります。
4.○ 高齢者では、発熱などから脱水になり、せん妄になることがあります。

 

 

問題79 Cさんは(66歳、女性)は、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)を発症して、介護唐人福祉施設に入所することになった。喫煙歴や高血圧症(hypertension)、糖尿病(diabetes mellitus)、脂質異常症(dyslipidemia)の既往はない。

入所中のCさんに認められる状態として、最も可能性の高いものを1つ選びなさい。
1.施設内で、迷子になったり徘徊したりする。
2.ほかの入所者のものを盗んだり、人に迷惑をかけたりする。
3.日常の動作が遅くなったり、転倒したりする。
4.四肢に麻痺が出現する。
5.舞踏病様運動が出現する。

 

答え:正解 3
1、2、4、5 × いずれもレビー小体型認知症の特徴的な症状ではありません。舞踏病とは、踊るようなしぐさをする運動障害です。ハンチントン舞踏病は遺伝性のものだが、舞踏病様運動は、原因なく高齢者で発症するほか、妊娠初期にも見られることがあります。
3.○ レビー小体型認知症の特徴的な症状として、物忘れなどの認知障害、幻視・幻覚などの精神症状、歩行の障害や体の固さを伴う運動機能障害、自立神経障害などがみられます。

 

 

問題80 若年性認知症(dementia with early onset)の記述をして、適切なものを1つ選びなさい。

1.40歳以下で発症する認知症(dementia)のことである。
2.罹患率は、男性より女性の方が高い。
3.飲酒が原因のものは含まれない。
4.アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)が含まれる。
5.血管性認知症(vascular dementia)は含まれない。

答え:正解 4
1.× 若年性認知症とは、18歳以上、65歳未満で発症する認知症の総称です。
2.× 18〜64歳人口における人口10万人当たり若年性認知症者数は、47.6人、男女別では、男性57.8人、女性36.7人となっています。(2009年・厚生労働省発表)
3.× 若年性認知症の原因の一つに、過度な飲酒があげられます。
4.○ 若年性認知症の主な原因疾患には、脳血管障害による血管性認知症や頭部外傷後遺症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)、アルコールによる認知症などがあります。
5.× 脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症を合わせると、若年性認知症全体の65%に上ります。

 

 

問題81 成人の認知機能を評価する方法の中で、口頭での回答と図形の模写などで簡便に行えるものとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.Functional Assessment Staging (F A S T)
2.改訂長谷川式簡易知能評価スケール
3.Mini-Metal State Examination (MM S E)
4.ビネー式知能検査
5.Clinical Dementia Rating (C D R)

答え:正解 3
1.× FASTは、アルツハイマー型認知症の病期を日常生活動作(ADL)の障害の程度によって分類したものであり、日常の行動視察から重症度を評価するスケールです。
2.× 改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、記憶を中心とした高齢者の大まかな認知機能障害の有無をとらえる検査であり、年齢や簡単な計算問題など9つの質問から成っています。図形の模写などは含みません。
3.○ MMSEは、認知機能や記憶力を測定して認知症などの認知障害があるかどうかの可能性を利用できる11の項目からなる検査です。
4.× ビネー式知能検査は、1905年にフランスで作成された知能検査です。難易度順に配列された問題から精神年齢を求めて、これから知能指数が算出されます。
5.× CDRは、認知症の重症度の評価方法です。記憶、見当職、判断力と問題解決、社会適応、家族状況及び趣味、介護状況の6項目について、患者の診察や周囲の人からの情報を基に評価します。

 

 

問題82 認知症(dementia)において、意欲低下と同時に認められる症状として、適切なものを1つ選びなさい。

1.希死念慮
2.罪業感
3.幻覚
4.収集癖
5.無関心

答え:正解 5
1.× 希死念慮とは、客観的に理解できない理由から死にたいと願うことです。
2、3、4 × 認知症の周辺症状には、幻覚があるが、意欲低下と同時に認められる症状ではりません。
5.○ 認知症の周辺症状には、幻覚、妄想、抑うつ、意欲低下などの精神症状がありますが、意欲低下と同時に認められる症状には、無関心があります。

 

 

問題83 認知症(dementia)の行動・心理症状(B P S D)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.傘立ての傘を人間と間違えるのは、幻視である。
2.感情を抑えられないのは、感情失禁である。
3.食欲が異常に亢進するのは、異食である。
4.夕方になると傾眠状態になるのは、夕暮れ症候群である。
5.目的もなくあちらこちら歩くのは、常同行動である。

答え:正解 2
1.× 幻視とは、実際にないものがあるように見えることです。幻覚には幻視をはじめ、幻聴、幻味、幻臭、幻視などが含まれます。
2.○ 感情失禁とは、感情をコントロールできなくなる状態です。
3.× 食欲が異常に亢進するのは、異食ではなく過食です。紙や土など食品ではないもののほか、通常では食べられないような極端な甘味、辛味などを食べることも含まれます。
4.× 夕暮れ症候群とは、夕方になると落ち着かなくなり、「家に帰る」と言って身支度をして外出しようとしたり、幻覚・妄想が出やすくなることをいいます。
5.× 目的もなくあちらこちら歩くのは、徘徊です。常同行動とは、同じ行動や行為を目的もなく何度も繰り返し続けることです。例えば、身体を揺らす、顔をしかめる、手で何かを叩き続ける、奇声をあげるなどがあります。

 

 

問題84 認知症(dementia)の妻が介護者である夫に対して、「夫が帰ってきます。お帰りください」と、言うようになった場合、妻の症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.実行機能の障害
2.失行
3.意識混濁
4.見当識障害
5.エピソード記憶の障害

答え:正解 4
1.× 実行機能の障害とは、きちんと計画を立てて実行することができなくなる状態をいいます。
2.× 失行とは、運動可能でも目的にかなった運動ができない状態とされます。
3.× 意識混濁とは、刺激を与えれば覚醒する状態から、精神活動が停止している状態までをいいます。
4.○ 見当識とは、今いる場所がどこか、今は何月何日、何曜日かなどの場所や時間を認識する精神作用のことです。自分自身のことや周囲の人のことを認識することも含まれます。自分がいる場所や時間、周囲の人間関係などを正しく認識できないことが見当識障害です。
5.× エピソード記憶の障害とは、過去のさまざまな思い出の記憶です。そうした記憶を忘れてしまい思い出せない状態が、エピソード記憶の障害です。

 

 

問題85 認知症疾患医療センターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.認知症患者が入院できる精神科病院のことである。
2.認知症専門医と作業療法士の配置が義務づけられている。
3.認知症(dementia)の人の要介護認定を行う。
4.認知症(dementia)の人の成年後見人を選ぶ。
5.地域の認知症医療の連携を強化する役割をもつ。

答え:正解 5
1、2、3、4 × 
5.○ 認知症疾患医療センターとは、都道府県及び指定都市により認知症専門医療の提供と介護サービス事業者との連携を担う中核機関として指定を受けた医療機関です。認知症の鑑別診断、身体合併症や周辺症状への対応、専門医療相談等を実施するとともに、地域の保健医療・介護関係者等との連携の推進、人材の育成などを行い、認知症の人が地域で安心して生活できるように、地域における支援体制の構築を目指しています。

 

 

問題86 Dさんは(45歳、女性)は、認知症(dementia)で被害妄想のある母親を引き取って同居を始め、1か月が経過した。最近、Dさんは、「この苦労は体験した人でないとわからない。誰にも愚痴を言えないが、どうしたらいいか」と言うようになった。

       Dさんの相談に対する介護職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.かかりつけ医に素横断するように勧める。
2.母親を施設に入所させてはどうかと勧める。
3.家族介護者の会を紹介する。
4.介護教室で介護技術を学ぶように勧める。
5.誰でもそう思う時期があると慰める。

答え:正解 3
1、2、4、5 × 介護職はDさんから切実な相談を受けており、マニュアル的な回答よりも、より具体的な提案が望ましいです。
3.○ 家族介護者の会とは、認知症の人の介護を担う家族同士の集まりです。お互いの介護に関する体験談や情報の交換などを行い、介護者の孤独感の解消や精神的なケアにつながる活動を行っています。地域によっては男性介護者の集まりもあります。各自治体から支援を受け、多くは会費と寄付で運営されています。