介護福祉士 平成25年度(第26回)試験問題

介護の基本

介護の基本

問題17 内閣府が2011年度(平成23年度)に実施した、「高齢者の経済生活に関する意識調査」における「世話の費用」に関する回答の中で、最も多かったものを1つ選びなさい。

1.資産の売却(担保を含む)等でまかなうことになると思う
2.子どもからの経済的な援助を受けることになると思う
3.特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う
4.その場合に必要なだけの貯蓄は用意していると思う
5.貯蓄だけでは足りないが、自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う

答え:正解 3
1、2、4、5 × 
3 ○ 「平成23年度・高齢者の経済生活に関する意識調査」において55〜59歳の回答では、「特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う」は27.5%、「自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う」は10.8%、「資産の売却(担保を含む)等でまかなうことになると思う」は19.1%、「子どもからの経済的な援助を受けることになると思う」12.9%、「その場合に必要なだけの貯蓄は用意していると思う」は12.9%でした。

 

問題18 社会福祉士及び介護福祉士法における介護福祉士に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.介護福祉士の業務を社会福祉士が行うことは禁じられている。
2.介護福祉士は、その業を辞した後は秘密保持義務が解除される。
3.介護福祉士の行う介護は、「入浴、排せつ、食事その他の介護」から「心身の状況に応じた介護」に法改正された。
4.介護福祉士は、環境の理由により日常生活を営むのに支障があるものに対して介護を行うことが規定されている。
5.介護福祉士は、信用失墜行為をした場合、罰則により1根にかの懲役または30万以下の罰金に処せられる。

答え:正解 3
1.× 社会福祉士とは、社会福祉士の名称を用いて、日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者であり、介護福祉士とは、介護福祉士の名称を用いて、日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護とされている。介護福祉士の業務を社会福祉士が行うことは禁じられていない。→社会福祉士及び介護福祉士法第2条
2.× 秘密保持義務は、介護福祉士ではなくなった後も同様に継続する。→法第46条
3.○ 2007年の改正により、介護福祉士が行う業務内容が、「入浴、排せつ、食事その他の介護」から「心身の状況に応じた介護」と規定されました。→法第2条
4.× 「身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者」を対象にしているのは社会福祉士です。
5.× 信用失墜行為の禁止(→法第45条)義務違反に対する罰則は定められていない。

 

 

問題19 Dさん(98歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。終末期を迎え、座位が困難でベッドで臥床(がしょう)している。医師は、死に至るまで1週間程度と予測している。呼びかけには目を開けて反応して、表情が変わることもある。食事は、アイスクリームや水分をわずかにとる程度である。

       Dさんは、以前から、ここで最後の時を安らかに過ごしたいと希望している。家族もそれを望んでいて、毎日、居室を訪れている。家族は延命措置を希望していない。
       介護職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.いつもテレビをつけたままにしておく。
2.居室内のポータブルトイレで排泄できるように介助する。
3.家族に、胃ろうの造設を医療関係者に相談するように促す。
4.家族とゆっくりと過ごす時間をもてるように、居室環境を整える。
5.声かけのたびに、頑張って長生きするように励ます。

答え:正解 4
1.× Dさんは、安らかに過ごしたいと希望しており、テレビのつけっぱなしは適切ではありません。
2、3,5 × Dさんは、死に至るまで1週間程度と予測されており、今は安らかに過ごせるように配慮することが適切といえます。
4.○ Dさんは、「最後の時を安らかに過ごしたいと希望している」とあることから、そのための居室環境を整えるのが最も望ましいと考えられます。

 

問題20 2003年(平成15年)に高齢者介護研究会が示した、「2015年の高齢者介護〜高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.高齢者介護においては、高齢者の尊厳の保持よりも日常生活における身体的な自立への支援が優先される。
2.介護保険は、高齢者の自立支援を目指すものであるが、その根底にあるのは「介護者の負担軽減」である。
3.高齢者が施設に入所した場合、環境や集団生活に効率的に適応するように、それまでの生活習慣を見直すことが望ましい。
4.認知症高齢者のケアの基本として、本人の生活の仕方や潜在する力を周囲が大切にしなければならい。
5.介護サービスの質を示す自立支援の効果測定を行う既存の標準的な尺度を、今後とも使用することが望ましい。

答え:正解 4
1.× 「高齢者が尊厳をもって暮らすことと」を実現していくことが国民的な課題であるとされています。
2.× 介護保険制度は、「自立支援」を目指すものですが、その根底にあるのは
「尊厳の保持」であるとされています。
3.× 施設に入所した場合でも、施設での生活を限りなく在宅での生活に近いものにして、高齢者の意思、自己決定を最大限尊重したものとするとされています。
4.○ ケアの基本は、本人の生活の仕方や潜在する力を周囲が大切にすることです。なお、報告書が作られた当時は、「段階の世代(1947年〜1949年生まれ)」が65歳以上となる2015年には、高齢化率は26.0%になると予測されていました。
5.× 自立支援の効果測定を行う尺度は、常に見直しをしなければなりません。

 

 

問題21 ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)の「活動と参加」に分類される内容として、正しいものを1つ選びなさい。

1.毎日の日課として必要な行為をやり遂げること
2.ダイニングに来て、食事をする場所だと思い出すこと
3.料理番組に好物が出ているのを見て、食慾がわくこと
4.自宅に届いた花を、きれいだと感じること
5.介護職の意識や行動が利用者に影響を及ぼすこと

答え:正解 1
1.○ ICFでは、活動(activities)とは、課題や行為の個人による遂行のことであり、生活行為を意味しており、参加(participation)とは、生活・人生場面(Life situation)への関わりのことで社会的役割とされています。
2.× 「食事をする」のは活動であり、「思い出す」のは心身機能です。
3.× 「食欲がわく」のは、身体機能です。
4.× 「きれいだと感じる」のは、心身機能です。
5.× 「介護職の意識や行動が利用者に影響を及ぼす」のは、背景因子の「環境因子」に分類されます。

 

 

問題22 介護実践におけるリハビリテーションの考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.自助努力に任せる。
2.生活の視点を重視する。
3.時間を限定して行う。
4.疾病治療を目標とする。
5.リハビリテーション室で集中的に行う。

答え:正解 2
1.× 自助努力だけでは生活が困難なことから、リハビリテーションが必要なので
す。
2.○ リハビリテーションの目標は、生活の視点から見たものが最も重要といえま
す。
3.× 時間を限定していては、状況に応じたリハビリテーションは困難になります。
4.× リハビリテーションは、疾病治療を目標として行うものに限りません。
5.× リハビリテーションは、リハビリテーション室だけで行われるものでなく、集中的に行うこともきわめて稀です。

 

 

問題23 Eさん(70歳、男性)は、介護老人保健施設に入所している。認知症(dementia)であるが、普段は他の利用者と一緒に穏やかに話をしている。しかし、介護職が食事の準備をしているのを見ると、落ち着きがなくなって食堂をうろうろしたり、大声を出したりすることがある。

       Eさんの言動を理解するための介護職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.料理に出た食材を話題にして、季節について質問する。
2.若いころの仕事や生活のことなど、Eさん自身の話を詳しく聞く。
3.認知機能の評価尺度を用いて認知症(dementia)の程度を確認する。
4.箸の使い方などの食事の動作を見守る。
5.ロールプレイ(role-play)を通して、人とかかわりを観察する。

答え:正解 2
1.× 食事に何らかの関わりがあるかもしれないが、単刀直入に聞くのは適切とはいえません。
2.○ 受容・共感を心がけて、Eさん自身の話を詳しく聞くことから理解を深めることは適切といえます。
3.× 認知症(dementia)の程度を確認の前に、Eさんの話を聞くことなどで、理解を深めるように努めるべきです。
4、5 × 箸の使い方やロールプレイ(役割演技)の観察ではEさんへの理解を深めることは難しいです。

 

 

問題24 介護を必要とする人のためのエコマップ(ecomap)に記載する情報として、最も重視するものを1つ選びなさい。

1.血圧、脈拍、呼吸及び体温の値
2.性別、年齢、生年月日及び既往症などの情報
3.親、兄弟及び祖父母など、数世代にわたる家族関係
4.利用者や家族を取り巻く様々なシステムとの関係
5.要介護度や生活ニーズ

答え:正解 4
1、2、5 × 利用者の身体的な情報は、エコ・マップにおいては付随的なものです。
3.× 数世代にわたる家族関係を示したものは、いわば家系図です。
4.○ ジェノグラムが家族関係を表すものであるのに対して、エコ・マップは、ジェノグラムを中心にして、利用者とその家族、地域、学校、会社などの社会的資源との関係を図式的に描いたものです。

 

 

問題25 小規模多機能型居宅介護に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.2012年度(平成24年度)から開始された介護サービスである。
2.管理者は、医師であることが義務づけられている。
3.長期間の宿泊を目的としている。
4.訪問入浴介護のサービス提供を目的としている。
5.地域密着型サービスの1つである。

答え:正解 5
1.× 小規模多機能型居宅介護は、平成18年4月の介護保険制度改正で創設されたものです。
2.× 管理者は、医師でなければならないと定められていません。
3.× 短期間の宿泊と利用者の自宅への訪問を組合せたサービスを行っています。
4.× 小規模多機能型居宅介護を利用する場合、訪問入浴介護サービスは受けられません。
5.○ 小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスのひとつであり、通所介護(デイサービス)を中心に、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせように、より地域に密着するように小規模単位で設立されたものです。

 

 

問題26 在宅生活を支える各種の介護サービスに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.訪問介護において、通院介助は生活援助に位置づけられる。
2.短期入所生活介護の利用者は、介護老人福祉施設への入所申込みをした者に限られる。
3.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、ADL(Activities of Dairy Living:日表生活動作)の低下した認知症(dementia)の高齢者は利用できない。
4.夜間対応型訪問介護は、介護福祉士が看護師と同行して支援を行わなければならない。
5.訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせて一体的に提供される介護サービスは、複合型サービスである。

答え:正解 5
1.× 訪問介護サービスでは、通院介助は身体介護となります。生活援助は、掃除、洗濯、買い物、関係機関との連絡などのサービスが該当します。
2.× 短期入所生活介護は、居宅サービスであり、介護老人福祉施設への入所申込みに関係なく、要介護認定を受けた者を対象としています。
3.× 認知症対応型共同生活介護とは、要介護者でかつ認知症である者を対象としており、日常生活動作の低下した認知症の高齢者も含まれます。
4.× 夜間対応型訪問介護は、介護福祉士又は訪問介護員が支援を行うとされています。→法18条第5項
5.○ 複合型サービスとは、複数の居宅サービスや地域密着型サービスを組合せてサービス提供を行うものである。

 

 

問題27 地域包括支援センターに関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.高齢者にかかわるボランティアや民生委員などと連携する。
2.介護福祉士が配置されることになっている。
3.各種介護保険サービスを包括的に提供する。
4.要介護高齢者にかかわるケアマネジメント業務を行う。
5.小学校区ごとに設置されることになっている。

答え:正解 1
1.○ 地域包括支援センターは、ボランティアや民生員も含めて市町村内の関係セクションとの連携体制を構築しなければならない。
2.× 地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーを配置しなければなりません。
3.× 地域包括支援センターには総合的な相談窓口機能があるが、介護保険サービスを包括的に提供する機関ではありません。
4.× 要介護高齢者だけではなく、要支援・要介護状態の方に対してケアマネジメント業務を行います。
5.× 地域包括支援センターの設置基準は、小学校区ごとに配置されるのではなく、おおむね人口2〜3万人に1箇所となっています。

 

 

問題28 利用者の安全を確保するために留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.リスクマネジメントは、事故が起きてからその体制を検討する。
2.利用者のけがや事故の原因の1つに、生活を制限されることから生じるストレスがある。
3.施設内では、介護職が取り扱い慣れた歩行器を優先して使用する。
4.利用者本人に対して、積極的に身体拘束への同意を求める。
5.事故報告書は、管理者以外、閲覧することができないように管理・保管する。

答え:正解 2
1.× リスクマネジメントは、事故が起きる前から事故のリスクを最小限にするために検討を行うものです。
2.○ ストレスは、さまざまな事故の原因となるものです。
3.× 介護職ではなく、利用者自身が使い慣れたものを優先しなければなりません。
4.× 身体的拘束は行っていけません。
5.× 事故報告書の情報は、関係者が共有して再発防止に役立てます。

 

 

問題29 社会福祉法人が設置・運営する、指定介護老人福祉施設の離クスマネジメントに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.サービス提供時に事故が発生した場合、損害賠償は市町村が行う。
2.事故のリスクを減らすために、利用者の飲酒・喫煙を禁止する。
3.事故後に家族に連絡・報告した書類を、インシデント報告という。
4.職員のプライバシーに配慮して、職員名は事故の記録に残さない。
5.事故が発生した場合、速やかに家族に連絡する。

答え:正解 5
1.× 介護保険法には、指定介護老人福祉施設の損害倍走義務が定められています。→法35条第2項
2.× 利用者によっての飲酒・喫煙を制限することはありますが、全面的に禁止することはありません。
3.× インシデント報告とは、ヒヤリハット報告のことです。
4.× 事故の記録には職員名も記録することになっています。
5.○ 事故が発生した場合には、速やかに、市町村、入所者の家族に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならないと運営基準に規定されています。

 

 

問題30 2009年度(平成21年度)「不慮の事故死亡統計」(厚生労働省)によると、高齢者の家庭内における不慮の事故による死亡は、窒息、溺死、 (A) の順で多い。

(A)の予防として、適切なものを1つ選びなさい。
1.火災報知機を設置する。
2.滑りにくい床材を使用する。
3.介護者は手洗いを十分に行う。
4.液状の料理は、とろみをつける。
5.脱衣室と浴室の温度の差をなくす。

 

答え:正解 2
1,3,4,5 × いずれも「転倒・転落」の予防措置とはいえない
2.○ ★不慮の事故死亡統計で、窒息及び溺死に次いで死亡数が多いのは、「転倒・転落」となっています。平成7年以降の統計では、転倒・転落、溺死及ぶ窒息で死亡数が増加傾向にありますが、これは、死亡率の高い高齢者が増加しているためと考えられます。
  注:本問は選択肢2を正解として出題されていましたが、問題文に誤りがあり、採点上の取扱いは、全員に得点することとされました。以下は社会福祉振興・試験センターの発表。
    「2009年度(平成21年度)「不慮の事故死亡統計」(厚生労働省)によると、高齢者の家庭内における不慮の事故による死亡は、溺死、窒息の順で多いため、問題として成立しない。」

 

 

問題31 ノロウイルス(Norovirus)による感染症に関する記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.冬より夏に多い。
2.集団感染になることは少ない。
3.感染経路は、主に接触感染である。
4.消毒には、エタノール消毒液が有効である。
5.嘔吐物・便の処理には、マスクを着用する。

答え:正解 5
1、2、3、4 × 国立感染症研究所の「ノロウイルス等検出状況」報告によれば、2013年の週別の検出数では11月〜12月にかけて急激に増加しています。この季節の低い温度も関係しているとみられます。ノロウイルスは感染力が強く、手から口を介して体内に入る接触感染だけではなく、空気中に舞い上がったウイルスが体内に入り空気感染により発症することから、集団感染を引き起こす例が多く見られます。消毒にはエタノールではなく、塩素系消毒薬が有効です。
5.○ 嘔吐物・便の処理の際には感染しやすく、必ずマスクを着用します。

 

 

問題32 介護職の腰痛予防に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.日ごろから、前傾中腰姿勢での介護を心がける。
2.長期間、座位の姿勢をとっても腰に負担がかからない。
3.腰痛予防の体操として、静的ストレッチングが効果的である。
4.シーツ交換時のベッドの高さは、介護職の腰より低くする。
5.介護職の体幹を45度程度ひねって介護する。

答え:正解 3
1.× 前傾中腰姿勢は、最も腰痛を起こしやすいです。
2.× 長時間、同じ姿勢をとると腰痛を起こしやすいです。
3.○ 腰痛予防には、筋肉への負担が少ない静的ストレッチングが効果的といえます。
4.× ベッドの高さが低いと腰への負担が大きいので、ベッドの他の高さは、腰よる高い位置に設定します。
5.× 体幹のひねりが大きいと負荷が大きいので、ひねりの程度を小さくして、できるだけ不自然な姿勢を取る頻度と時間を少なくします。