介護福祉士 平成25年度(第26回)試験問題

障害の理解

障害の理解

問題87 ICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:国際障害分類)からICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)への変遷に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.ICIDHは、機能・形態障害の分類が不十分という機能があった。
2.医学モデルから社会モデルへの転換として、ICFを位置づけた。
3.ICIDHは、身体障害に適応できない部分があるという批判があり、ICFが開発された。
4.ICIDHにおける身体障害を、ICFでは参加制約に置き換えた。
5.ICIDHよりも、環境及び環境と個人の相互作用を重視したモデルとしてICFが提案された。

答え:正解 5
1、2、3、4 × ICIDHは1980年に公表されたが、機能・形態障害の分類が中心であり、客観的な障害しか扱っていない、障害のプラス面が軽視されている、環境因子が軽視されている、といった批判がされていました。また、障害構造モデルから生活機能モデルへの転換が行われ、ICIDHにおける能力障害は、ICFは活動制限に置き換えられた。
5.○ ICFでは、人的、社会的環境も含まれる環境因子が導入され、双方向の相互作用モデルになりました。

 

 

問題88 ソーシャルインクルージョン(Social inclusion)の理念として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.すべての人を社会の一員として包み込み、共に支え合う。
2.同年代の障害のない人の生活と同じような生活ができるように援助する。
3.必要な支援を受けながら、自分の生活を選択し決定する。
4.問題解決能力を抑圧された人々の主体性を回復する。
5.奪われたすべての権利を回復し、その人にふさわしい生活を取り戻す。

答え:正解 1
1.○ ソーシャルインクルージョンとは、「すべての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」という理念です。2000年に厚生省の「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会報告書」で提言されました。
2、3、4、5 ×

 

 

問題89 免疫力が低下したHIV(human immunodeficiency virus)感染者の生活上の留意点に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.火を通さない生ものを積極的に摂取する。
2.他者の皮膚に直接手で触れることは避ける。
3.びらんを防ぐため、肛門周囲を清潔に保つ。
4.日和見感染を防ぐために、日光に当たらない。
5.口腔内出血を防ぐため、口腔ケアを行わない。

答え:正解 3
1.× 火を通さない生ものは避けなければなりません。
2.× 他者の皮膚に直接手で触れた程度では感染しません。
3.○ HIV感染症のリスクは、肛門性交などでびらん(ただれ)ができやすくなり感染のリスク高まります。その予防は校門周囲を清潔に保つことです。
4.× 日和見感染とは、免疫能力の低下によって引き起こされる感染症のことです。日光に当たることは日和見感染の予防につながります。
5.× 口腔ケアは十分に行わなければなりません。

 

 

問題90 知的障害のある人のライフステージ(life stage)に応じた支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.乳児期には、身体的な成長と精神的な成長のアンバランスに配慮する。
2.幼児期には、将来の就職を考えた自立プログラムを提供する。
3.成人期には、家族の障害受容を支援する。
4.壮年期には、親と死別した後の生活への適応を支援する。
5.老年期には、障害者福祉サービスの利用を支援する。

答え:正解 4
1.× 乳児期には、育児支援の視点から親に対する支援を行っていく。
2.× 学齢期までの子どもには、次々と目標の達成を求めがちだが、自然なペースで次の目標に向かうという姿勢が望ましいです。
3.× 成人期には、家族の協力関係を築いていくようにします。社会との関わりも増え、支援者、関係者との連携が重要となります。
4.○ 壮年期には、家庭環境により日常生活の訓練など単身性生活への移行準備も行う必要があります。
5.× 老年期に限らず、障害者福祉サービスの利用はすべてのライフステージにおいて必要といえます。

 

 

問題91 自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)のあるEちゃん(5歳)とのコミュニケーションとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.「水筒にもっとたくさん水を入れてね」
2.「Eちゃんがいい子にしていたら、遊園地に連れて行ってあげます」
3.「手を洗って、ご飯を食べて、歯を磨いてから遊園地に行こうね」
4.「片づけが終わらないと、遊園地に連れて行きませんよ」
5.「Eちゃんは、これから遊園地に行きます」

答え:正解 5
1、2、3、4 × スペクトラムとは連続体であり、自閉症スペクトラム障害とは、自閉症、特定不能の広汎性発達障害などを広くとらえたものです。この障害のある場合には、疑念化や抽象化が困難であり、より具体的で簡潔に説明するなどの配慮が望ましいです。否定的な発言も好ましくありません。
5.○ 言葉かけは、短く、簡潔に行うことが望ましいです。

 

 

問題92 Fさん(55歳、男性)は、1年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。以前よりも、両上下肢の筋力低下が進み、日常生活にも介助が必要となってきた。現在は、壁を伝いながら、妻の介助でどうにか歩行は可能である。からだを起こすと血圧が低くなり呼吸が苦しくなるため、「何もしたくない」と自宅の中だけで過ごすことが多い。

       介護職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.血圧低下の治療をする。
2.妻に病状の進行を説明する。
3.人工呼吸器の装着を促す。
4.安楽な体位を工夫する。
5.運動・体操を指導する。

答え:正解 4
1.× 血圧低下の治療は医師が行います。Fさんの場合には、急に体を起こさないように留意しますが、介護職は医師の指示に従って対処します。
2.× 妻に病状について説明するのは、医師の役割です。
3.× 人工呼吸器の装着は医師の判断によります。また、人工呼吸器の装着は、家族の介護負担を増大させることにも留意しなければなりません。
4.○ Fさんの安楽な体位を工夫することは適切です。
5.× Fさんの状況からは運動・体操は適切とはいえません。運動・体操の指導は医師の指示を受けた上で行わなければなりません。

 

 

問題93 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)の人の日常生活上の留意点として、適切なものを1つ選びなさい。

1.入浴では、お湯の温度を高めにする。
2.着替えをするときには、腕を高く上げない。
3.立ち上がる時には、息を止める。
4.和式トイレを使用する。
5.低カロリーの食事を摂取する。

答え:正解 2
1.× お湯の温度は低めにするが、好みもあるので利用者に確認をする必要があります。
2.○ 慢性閉塞性肺疾患がある場合には、腕を高く上げる動作を繰り返して行うと息苦しさが増すので注意しなければなりません。
3.× 息を止めるのではなく、口をすぼめて呼吸をします。
4.× 和式トイレではなく、かがみこむ姿勢が楽になる洋式トイレがいいです。
5.× 高カロリーで消化しやすい食事を摂取するようにします。

 

 

問題94 リハビリレーションの専門職の業務として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.言語聴覚士は、嚥下訓練を行う。
2.義肢装具士は、義肢を処方する。 
3.視能訓練士は、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)の評価を行う。
4.作業療法士は、知的障害者の疾病予防や健康づくり支援を行う。
5.理学療法士は、精神障害者の社会復帰の相談援助を行う。

答え:正解 1
1.○ 言語聴覚士が行う言語聴覚療法では、言語機能や摂食・嚥下機能の評価・訓練・指導などが行われます。
2.× 医師が行った処方に従い、義肢装具士が義肢及び器具の装着や製作、身体への適合を行います。
3.× 視能訓練士は、医師の指示の下に、視機能の回復のための矯正訓練と必要な検査を行います。評価を行うのは医師です。
4.× 作業療法士は、利用者の主体的な生活の獲得を図るため、日常生活活動や作業活動を用いて機能の回復、維持を促します。
5.× 理学療法士は、身体に障害のある利用者の基本的身体運動機能を、運動療法や物理療法によって改善・回復を促します。

 

 

問題95 Gさん(24歳、男性)は、父親と同居している。半年前に総合失調症(schizophrenia)を発症し、3ヶ月精神科病院に入院した。現在は仕事を休 み、服薬を続けながら、ホームヘルパーサービスを利用し、自宅療養中である。日中はほとんど動くことができず、一日中寝ていることもある。父親はGさんに「どうして仕事ができないのか」、「薬に頼ってばかりではいけない」と言い、Gさんは父親に言われるたびに落ち込んでいる。

      父親に対する介護職の支援として、適切なものを1つ選びなさい。
1.以前のように仕事ができると信じていることを、Gさんに伝えるように勧める。
2.薬の管理を父親が行うように勧める。
3.家族心理教育プログラムへの参加を勧める。
4.Gさんを誘って気晴らしに旅行するなどの娯楽を勧める。
5.規則正しい生活をするように、Gさんを励ますことを勧める。

答え:正解 3
1、2、4 × Gさんと父親の現在の関係からは、不適切といえます。
3.○ 心理教育プログラムとは、病気の概要や治療方法を学んで、病気に対する理解を深め、今度の対処法や再発防止について学ぶものです。
5.× 総合失調症の利用者に対する安易な励ましは、かえって負担となります。

 

 

問題96 レスパイトケア(respite care)の目的として、適切なものを1つ選びなさい。

1.利用者の身体的安静を確保すること。
2.介護を担う家族に休養を提供すること。
3.介護職に休息を提供すること。
4.利用者のリハビリテーションの機会を確保すること。
5.介護を担う家族の経済的負担を軽くすること。

答え:正解 2
1、3、4、5 × 
2.○ 家族介護者の介護疲れは大きな問題です。レスパイトケアとは、在宅介護の利用者の家族が、一時的に介護から解放されて休息をとれるように行うショートステイなどの支援のことです。家族の経済的負担を軽くすることではありません。